変更はスポンサー向けガイダンスの付録Dに記載されており、スポンサーに対する文書管理要件が取り上げられています。
更新の背景
熟練労働者のルートの立ち上げを含め、スポンサー付き労働者向けの移民手続きが大幅に改定され2020年12月1日に施行されました。それまでのティア2(一般)とは異なり、このルートには正式な居住者労働市場テストの要件としないことを確定しました。
2020年12月1日に付録Dの最初の変更が発表され、この中ではスポンサーから内務省に居住者労働市場テストの実施を報告した場合の採用活動について、その証拠を維持する必要性だけが言及されていました。
この当初の表現には内務省の意図が適切に反映されていませんでした。正式な居住者労働市場テストが要件ではない場合でも、スポンサー付き労働者が雇用された空席が純粋な空席であったかどうかについて評価できる態勢を留めるということが内務省の意図でした。よって内務省は2020年12月18日に付録Dを改訂しましたが、その改訂の中で、正式な居住者労働市場テストに以前含まれていたものと同様の非常に規範的な文書管理要件を再導入しました。
内務省と移民担当の専門家の間で交わされたその後の会話ややり取りによって、内務省の意図は正式な居住者労働市場テストの要件を実質的に再導入することではないこと、より説明的なガイダンスが今後出てくることが確認されました。このガイダンスが最終的に2021年3月16日に発表されました。
新たなガイダンスの要件
スポンサーが採用活動に関して維持すべき証拠について取り上げた付録Dの第2部は2つのセクションに分けられました。
セクションAは正式な居住者労働市場テストまたは同様のものが要件とされていた、または要件であるという状況(2020年12月1日前のルートの下で要件とされていた状況と、T2スポーツ選手、T5宗教従事者、T5クリエイティブ、T5スポーツ)について取り上げています。おおむね、2020年12月1日前の付録Dを踏襲しています。
セクションBは正式な居住者労働市場テストが不要な状況(2020年12月1日以降の熟練労働者およびその他スポンサー付き労働者。T2スポーツ選手、T5宗教従事者、T5クリエイティブ、T5スポーツを除く)を取り上げています。
セクションBでは、求人を広告した場合、採用活動の証拠維持を確認しています。維持すべき証拠には次のものが含まれます。
- 広告の詳細、具体的には:
- 出稿した広告のスクリーンショット、印刷、コピー。(広告の最低限の数や広告手法についての指示はありませんが、該当する全ての広告の証拠を維持することをお勧めします。)
- 求人広告の掲載場所(ウェブサイトのアドレスなど)およびその期間。
- 仕事に応募してきた人数、面接およびその他の採用プロセスの段階に招待された人数の記録。
- 最適な候補者の特定のためにスポンサーが利用したプロセスを示す証拠または情報を少なくとも1件(採用されなかった候補者の個人データを保管する必要はない点にご留意ください):
- 採用された候補者の面談メモの写しまたは要約
- 選定プロセスの一環として全候補者に使った面接時の共通の質問一覧
- 採用された候補者が選ばれた理由と他の候補者が却下された理由に関する短いメモ
- 採用された候補者を特定するために使われた得点付けや評価付けプロセスに関する情報
- その他関連する情報や証拠
求人広告を出さなかった場合、スポンサーは求められた場合には、スポンサー付き労働者が適切であるとどのように特定したのかについて説明(および可能であれば証拠を提供)できる必要があります。例示列挙すると次の通りです。
- 大学での会社説明会の証拠(熟練労働者の事前要件に関する各大学からの手紙)。
- その労働者が既に他の移民ルートでスポンサーにおいて合法的に勤務しており、以前の業績によって適任であることが示されている。
- その労働者が、募集を行っていない職種に応募し、スポンサーとしてはその仕事に対する必要なスキルや経験を有していると判断した(面接、紹介および/または資格などから)。
スポンサー付き労働者の人事ファイルに短いメモを含め、適宜、適切な説明ができるようにしておくことをお勧めします。
今講じる実際的なステップ
スポンサーは更新されたガイダンスを確実に順守すべきです。2020年12月1日以降に移民申請をした全労働者に対して順守を図ってください。ガイダンスは過去にさかのぼるもののようですので、2020年12月18日のガイダンスで設定された一段と煩雑な要件には従う必要はないというのが当方の見解です。
ガイダンス改訂版の変更点や順守に関するご質問は、移民チームのメンバーまでお問い合わせください。